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研修医体験記11月

 

 

2021年1月14日

2020年11月の研修医体験記

 


2020年11月は自治医科大学附属病院と帝京大学医学部附属病院から1名ずつ計2名の初期研修医2年目の医師が当院で地域医療研修を行いました。お二人とも各々の個性を生かして診療に取り組んでくれました。相互に協力しながら効率的に知識を共有することもできたと思います。新型コロナウイルス感染症流行期でしたが、感染対策に留意した上で晩秋の知床の自然にも触れていただけたことと思います。

お二人からいただいた研修のご感想をご紹介いたします。

まずは自治医科大学附属病院の研修医の先生から頂いたご感想です。

「斜里国民保険病院での1ヶ月の研修を終え、栃木の病院に帰って来ました。11月の斜里を経験して玄関を出るたびに地面が凍っていないか気にする癖がすっかりついてしましまいたが、私の住んでいる地域ではそのようなことは年に1度もありません。
 遠く離れた大学病院の寮の一室でこの文章を書きながら思うことは、研修に行く前は北海道の豊かな自然や美味しい食べ物にばかり思いを募らせ、正直仕事のことはほぼ何も考えてなどいなかったというのに、帰って来てみればやはり一番思い出深いのは患者さんたち一人ひとりとのやりとりだったということです(二番目はもちろん美味しい食べ物ですね!笑)。大学病院ではその特性上、特殊な病気の患者さんが多く集まってくるのですが、この度はいわゆるcommon diseaseと呼ばれるような誤嚥性肺炎であるとか、尿路感染症などを筆頭に様々な疾患を経験させて頂きました。一つ一つの疾患自体は医学的にはcommon=一般的な ではありましたが、ご高齢の方が多いこともあって一つ一つの病気の治り方がその方の今後の人生の帰結の仕方にも大きく関わってしまうと予想されることさえもありました。しかしながら幸いなことに看護師さん、PTさん、OTさん、臨床検査技師さんなど、他の先生方だけでなく多くの職種の方と非常に近い距離で仕事が出来、細かいリハビリの様子や食事・嚥下のこと、褥瘡の対応や日々の細かな様子の違いなどを教えて頂くことが出来ました。そのおかげで担当させて頂いた患者さんに対してはなんとか私の出来得る限りその患者さん自身に即した医療を行うことができたのではないかと思っています。本当にありがとうございました。

 さらに最も近くで日々の患者さんの状況を共有し診療方針を相談させて頂いた、合地院長、石岡先生は研修医に適切な指導を行える環境を非常に重視してくださっておりました。大学病院で診療をしている時でさえ、場合によっては聞けば納得のいく返答を返していただける先生が身近におらず、あれこれ長時間悩むことも多い中で、この1ヶ月は調べたいことを調べ、意見をぶつけ、それに対してフィードバックを頂き、一緒に方針を決めるといったことを毎日なんの不自由もなく行うことが出来ました。先生方は日々自身の診療だけでも大変忙しい立場であることは、たった1ヶ月しかいなかった私の目にも明らかで、その中で意識的に研修医とディスカッションする時間を設けて頂いたことを本当に有り難く思っています。
 斜里国民保険病院の皆様、1ヶ月と短い間でしたが大変お世話になりました。どこかで再び会う機会がありましたらよろしくお願い致します。また、担当させて頂いた患者さん方、私も元気に過ごしますので、皆様もどうかお元気でお過ごしください。」

 

続いて、帝京大学医学部附属病院の研修医の先生から頂いた研修のご感想です。

「この度は生活環境を一新しての地域医療研修を行いたいと思い、斜里町国民健康保険病院を希望させて頂きました。1ヶ月という短い期間ではございましたが、地域医療研修を受けさせていただきお礼申し上げます。 
大学病院での研修と違い限られた医療資源で、より質の高い医療を提供できるように日々奔走するスタッフの方々の努力を身近で学ぶことができ、非常に良い経験を沢山得ることができました。暖かく迎えて頂きスタッフの方々に改めてお礼申し上げます。
 
 一番印象に残っているのはスタッフと患者様との距離が非常に近かったことです。往診への同伴、退院カンファレンス、在宅医療の調整など、病院内だけでなく退院後の自宅での生活環境の調整を行うなど、患者様をより身近に感じることができました。高齢者の患者様が多く、ロコモティブシンドロームやフレイル、サルコペニアの老年症候群に加え、multiple-morbidityという概念について大変勉強になりました。
 当直では救急隊員からの引き継ぎをはじめ入院加療に加え、重症患者の治療のため他院への紹介の判断などを新たに学ぶことができました。加えて観光地ということから旅行者の外傷・体調不良など貴重な経験を得ることができました。
 また医療のことだけではなく、東京ではみられないような北海道の大自然を一部ですが体験できたのも大きな経験となりました。
 今回の斜里町国民健康保険病院での研修を踏まえて、より一層自己の研鑽に努めたいと思います。この度は合地先生をはじめ全スタッフの方々と患者様、1ヶ月の間、誠にお世話になりました。」

 

お二人のさらなるご活躍を当地よりお祈りしております。   

(写真撮影時のみマスクを外しています)