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研修医体験記6月

 

 

2020年7月16日

2020年6月の研修医体験記

 2020年6月は永寿総合病院初期研修医2年目の先生が当院で地域医療研修を行いました。初夏の日差しの中、病棟や外来でのびのびと診療していただきました。多彩な疾患に対して積極的に対応することで総合病院では得られにくい経験を持ち帰っていただくことができたなら当院スタッフも大変嬉しく思います。

先生からいただいた研修の感想を以下にご紹介します。

「この度、斜里町国民健康保険病院で一か月間、地域医療研修を受けさせて頂きました。研修では主に病棟・外来・救急外来・訪問診療に携わり、抗菌薬や検査の選択、治療方針の決定なども経験しました。その中で特に印象深かったことをいくつか記させて頂きます。

 まず、この病院では内科の全科が一つになっており、各専門科に分かれていません。内科病棟に入院している患者さんの疾患も、心不全、感染症、糖尿病など多岐にわたります。一見、高度に専門分化している方がいいようにも見えますが、患者さんに併存疾患があったり、入院中に新規の問題が起きたりした場合、同じ医師が診ることはメリットも多いと感じました。患者さんとの信頼関係を維持したまま、次の診療を行えるからです。専門科に分かれている病院では、脳卒中で入院した患者さんが経過中に誤嚥性肺炎を発症し、それにより心不全が悪化した場合、入院中に何度も転科することが珍しくありません。こちらの病院では入院中に1人の医師がトータルで診ることで、患者さんとの信頼関係が確実に強くなっていると感じました。
 また、医師と患者さんの関係を越え、同じ町に暮らす仲間としてお互いがあることがとても新鮮な驚きでした。ある日私が「新しい患者さんが入院しました」と言った時、先生が「そうか!この患者さんはな〜」と患者さんにまつわる話を詳しくして下さったのがとても印象に残っています。
 そして広大な北海道の医療の現実を象徴する出来事として、もう一つ印象深かったのが救急搬送に同乗したことです。とにかく搬送にかかる時間に驚きました。斜里町から網走まで約50分、北見までは1時間半ほどかかります。かなり切迫した状況での搬送もあり、搬送先に着くまでがとても長く感じられました。自分たちの病院で処置出来るのか。高度な医療機関に送った方がいいのか。患者さんの状況から瞬時に判断することの難しさも目の当たりにしました。転院先まで辿り着けるか、ということまで考えて判断されている先生方の姿を見て、医療資源が限られているからこそ医師の采配がとても重要で、高度な判断力が求められているのだということを実感しました。
 
 それから院内では様々な職種の方々に大変お世話になりました。病棟で困った時に助けて下さった看護師さん、こちらでの生活について詳細な調整や案内をして下さった事務員さん、エコー検査のやり方を親身になって指導して下さった放射線技師さんなど、各スタッフの方々にこの場をお借りしてお礼申し上げます。
 また、合地院長、石岡先生はじめ、多くのご指導頂きました先生方に深く感謝いたします。温かいご指導、本当にありがとうございました。今回の経験を今後の医師人生にもいかせるよう今後も努力を続けて参ります。引き続きご指導よろしくお願い致します。
 最後に、斜里町の皆さまもどうぞお元気に過ごし下さい。」

先生のますますのご活躍を祈念しています!

(写真撮影時のみマスクを外しています)